昔学校でこういう話を聞いた。「参加することに意義がある」と言う言葉の意味を知っていますか?と。もちろん僕は、そのままの意味で受け取った。つまり、勝ち負けはともかく、各選手はオリンピックと言うとてつもない舞台に参加している。そこで努力することが有意義であるのだ。そして、その事だけでも十二分に価値があるという意味である。と捉えたのである。

しかし、その先生は『take part』という単語を黒板に書きこれの意味を解る人いますかと言った。その真意は、日本の「参加する」と言う概念と「take part」とでは全く異なる概念であると言う事実を理解させるためであった。

先生が言うには「つまりこの言葉のさす意味とは、オリンピックにいる売り子や観客、コーチ、売店のおばちゃん、その他の大勢のそこに居る人々全部がオリンピックなんだ。」と言うことであった。僕はそれを聞いて「そういうことなのかぁ」と感心したと共に「皆が一体になっているんだ」という考え方に少なからず感動したのである。

しかし、何事にも懐疑的な僕はその感動・感心と同時に「ほんとうか?」と言う疑問もめでたく生まれてしまったのである。なぜならば、その話は昔先生が友人から聞いた(というか諭された?)ものであったからである。

そうして、僕は「参加することに意義がある」の本当の意味を探るべく調査した。

結果・報告

結果から言うと、The most important thing in the Olympic Games is not winning but taking part; the essential thing in life is not conquering but fighting well.である。つまりは、「オリンピックで最も大切なのは、人生と同様に努力することだ。」と言っているのである。そして、偶然にも僕がこれを調べているときに読んだ本(20世紀かく語りき・産経新聞社)の中にちょうどこのことが書かれてあった。そのタイトルは「勝つことでなくて参加すること」。内容は、1908年の第4回ロンドン大会の綱引き競技で、英国と米国のチームが勝利の為に醜い争いを演じた。大会期間中、 セントポール寺院が参加選手を招いて行った礼拝で、ペンシルベニアの司教であったエセルバード・タルボットがこう説諭した。「オリンピック大会で重要なことは、勝つことではなく参加することである。同様に人生において重要なことは、勝利ではなくて健闘することである」といった内容だった。(資料2で解るようにここに少しの誤解が生じているのかもしれない。)

やはりこの言葉に、先生の言っていたような壮大な意味はこめられていなかったようである。しかし、勝つことだけにこだわらないのがオリンピックの崇高なる理念であるのなら、僕は、そこにまた矛盾を感じてしまうのであった。

参考資料1  INTERNATIONAL OLYMPIC COMMITTEE – OLYMPIC GAMES

 LONDON 1908 THE MOST IMPORTANT THING…
Pierre de Coubertin took up the word of the Bishop of Pennsylvania “The most important thing in the Olympic Games is not to win but to take part”.

http://www.olympic.org/uk/games/past/innovations_uk.asp?OLGT=1&OLGY=1908

参考資料2 英文法用例集

The most important thing in the Olympic Games is not winning but taking part; the essential thing in life is not conquering but fighting well.
— Pierre de Coubertin (1863-1937) 

オリンピックで最も大切なことは勝つことではない。参加することである。人生で最も大切なことは成功することではない。努力することである。
- クーベルタン 

1908年の第4回ロンドン大会の折、タルボット司教(Ethelbert Talbot)がセントポール大>聖堂述べたことばをクーベルタンがスピーチで引用したもの。タルボットのことばは元来、次のとおりだった。 

The important thing in these Olympics is not so much winning as taking part. 

http://www.eng.ritsumei.ac.jp/asao/quotes/gerund/coubertin.html

参考資料3 20世紀かく語りき

 20世紀かく語りき 産経新聞取材班 産経新聞ニュースサービス 2000-11 

「言葉」で振り返る100年のドラマ
産経新聞の大好評連載に、16本を加筆。21世紀をまさに目前に控えた今、20世紀を「言葉」で振り返る! 200点を超える写真と10ページにわたる20世紀年表を加え、ヴィジュアル面でも十分に楽しめる良品です!
中国革命に生涯を捧げ、夢半ばに倒れた孫文は、こんな言葉を遺しました。「革命未だ成功せず」。第2次世界大戦が勃発して半年、英国首相に就任したチャーチルは国民にこう呼びかけました。「目的は勝利。それだけだ」。ジョン・レノンは自らの才能をどう思うかを問われ、こう答えました。「天才というのがあれば私は天才だ」……。呟き、唸り、叫び、そして愛の言葉。この100年間に、様々な人々が、様々な状況で、様々な言葉を残しました。それらを切り取って見てみると、20世紀はまさに「激動」の世紀でした。現在も、そしてこれからも、人々に訴えかけるであろう“言葉”を味わって下さい。